更新 2020.11.23
マンガ『鬼滅の刃』。今、流行っていますね。
最近はマンガの所縁(ゆかり)の場所を巡る『聖地巡礼』なるものがあって、『鬼滅の刃、聖地巡礼』というのもあるそうです。
その『鬼滅の刃』の聖地として今鬼滅ファンから注目されているのが、九州の竈門神社だそうですが、驚いたことに『雲取山』も鬼滅の聖地と言われているのだとか。。。
マンガ、読みましたけどね。『雲取山』という文字は出てきませんでした。
でも、インターネットには、「鬼滅の刃」の主人公の炭治郎の出身地が雲取山とか、アニメのロケハンの地が雲取山だとか、そういう情報が流れているようなのです。
それを見てか聞いて分かりませんが、聖地巡礼と称して、登山未経験の鬼滅ファンが今、雲取山へ行こうとしているというのですから、“命しらずな世間知らずの冒険野郎!” としか言いようがありません。
2016年に雲取山に登りましたが、決して安易に登れる山ではありません。
体力があればなんとか登れる、という山ではないのです。
東京の小学生が遠足で行く筑波山や高尾山。あるいは、三峯神社 表参道(登山道)や三峯神社 奥宮(妙法ケ岳)への登山が小学1年生レベルだとしたら、
雲取山は高校生レベル、という感じです。
小学1年生レベルの登山であれば、経験が無くても まあまあの体力があれば気合と根性でなんとか往復できますが、
高校生レベルとなれば、装備、体力、経験、このすべてが絶対に必要で、気合と根性で何とかなるものではありません。
更に、季節や天候、その日の体調にも配慮しなければなりませんし、本当に、一歩間違えただけで、石や草や土で滑って、落ちて、死にます。そういうところがあるのです。
亡骸さえも見つけてもらえない可能性だってあります。
雲取山へ登るとは、そういうことなのです。家族連れで登れる高尾山や筑波山とは違うのです。
雲取山登山は日帰りは出来ません。一泊二日が基本です。
雲取山登山を日帰りで行く方もおられますが、それは、山道を走って上り下りをする『トレイルラン』ということをして、雲取山日帰り登山 を実現しています。
雲取山には”山小屋”はありますが予約制ですし、空き部屋が無ければ泊まることはできません。
更に、”山小屋”は基本的に寝泊まりする場所であり、食堂や物を買ったりするところではありません。
山道にも”売店”はありません。
食料は、遭難して野宿になることも考えて、水も食料も多めに持って行く必要があります。重い荷物を背負って行かなければなりません。
歩ける時間帯は限られています。
雲取山登山道は多くの木々に囲まれているので、日当たり悪く、すぐに暗くなります。電灯はもちろんありません。
登山道は肩幅程度しかないところもたくさんあり、足を踏み外せば、斜面を滑り落ちて、大変なことになります。絶対に明るいうちに、たどり着かなければなりません。
どうしても雲取山に行きたい!
もし雲取山に登りたいのであれば、まずは体力づくり。
片道6時間、重い荷物を背負って、山道を上り下りできる体力が必要です。
そして、登山の装備を色々と買い揃える必要があります。
綿の服やスニーカーはNGです。NGである理由も知る必要があります。一度 4時間の山上り山下りを体験してみれば、スニーカーがNGであることが実感できます(私、痛感しました(^^;)
そして、登山を何度か繰り返して、疲れにくい登り下りのテクニックを覚え、自分の登山のペース配分を把握して、自分の通常の体力と体調を知り、登山当日の自分の体のコンディションを見極められなければなりません。
体の痛みが出やすいところを知って、痛みが出にくい体を作り、痛みが出た時のフォーローの仕方を知っておく必要があります。他人に迷惑を掛けずに、自分の体を自分の力で下山させるためです。
そして、5Kg(水 5リットル)以上の荷物を背負って、2日間連続で 往復 6時間以上の山登りをして体を作る。
雲取山の途中まで行って帰ってくる、を2回くらい行って自分の体の状態を知る。
これだけやって、
私の場合、なんとか、どうにかこうにか、ギリギリ、雲取山に登ることが出来ました。
準備はOK?
どうか安易な気持ちで雲取山に登らないでくださいね。
三峯神社~雲取山の登山道の途中には『霧藻ヶ峰』がありますが、「三峯神社から霧藻ヶ峰までは 軽い準備運動。雲取山への登山はここ(霧藻ヶ峰)から始まる」と雲取山ベテラン登山者は口を皆 同じことを言います。実際 その通りです。
体験してみれば、分かります。
山は登って終わりではなく、下ってくる時の体力にも配慮する必要があります。
数年前には、雲取山の登山道で熊が人を襲いましたよ。
夏には登山道付近に黒スズメバチが巣を作っています。刺されないように配慮する必要もありますし、刺された後の対策なども考えておかねばなりません。
黒スズメバチに刺されると歩行困難になるくらい激痛だそうです。
黒スズメバチに刺されてだんだんと痛みがひどくなり、雲取山登山を途中で諦めてUターンして下山していった登山者を、私は霧藻ヶ峰付近で見かけたことがあります。
他の日にも、霧藻ヶ峰付近で黒スズメバチに刺された人を見かけました。
どちらの場合も、1分早く私がそこを歩けば、私が刺されたかもしれない、というような状況でした。
遭難した場合、捜索や救助の費用は自己負担です。ヘリコプターで捜索や救助をするとものすごく高いですよ。そのお金を用意しておくとか、山の遭難保険に加入するとか、備えが必要です。
登山は遭難する可能性も踏まえた上で、荷物(装備)、体調、テクニックの備えが必要です。
もし、行ける準備が整ったら、一人では行かずに、必ず誰かと一緒に。
スマホや携帯電話の電波が届かない、届きにくいところもありますからね。
出来れば、登山経験者と一緒に行きましょう。
雲取山は素敵なところです。鬼滅の聖地巡礼ウンヌンを抜きにしても。
足元に気を付けて、是非、楽しんできてくださいね (^^♪
◆とても参考になるサイトです(↓)
『「鬼滅の刃」の主人公、炭治郎の実家が雲取山だという情報が出回っているけど、雲取山に登っても(おそらく)意味はない』
https://55096962.at.webry.info/202011/article_4.html
◆Yahooニュース
『専門家が警鐘!『鬼滅の刃』の聖地・雲取山に初心者ファンが「短パン」「サンダル履き」で』
https://news.yahoo.co.jp/articles/1247dd5ebe404c932f0677e42a9615f1dc343858
◆霧藻ヶ峰に行ってきた記事はコチラ
◆雲取山から帰ってきた時の記事はコチラ
◆雲取山に登るトレーニング、実施中の記事はコチラ