~「三峯神社の御犬様」と「もののけ姫の犬神モロ」の関係が知りたくて読書する~
その第二弾(^^;
「これを読んでみて」と言わんばかりに偶然見つけたのは、書籍「オオカミは大神 狼像をめぐる旅」でした。
取材のきっかけ
著者は犬好きの写真家 青柳健二氏。
犬嫌いだったのに いつしか大の犬好きになったお方で、「犬」という言葉が付いているとつい興味を持ってしまい。。。
ある時、秩父 吉田の椋神社を見に行って、そこで「お犬替え(オイヌゲエ)」という祭りの存在を知り、たくさんの犬が集まる祭りだろうと勘違いして「お犬替え」祭を見に行くところから話は始まります。
本の内容
これは、昨年の龍勢祭で撮影した 椋神社のお札です。
椋神社の「お犬替え(オイヌゲエ)」を見に行った際に、祭りの主旨を知り文化を知り、狼信仰、狼像に魅了された著者。
椋神社で、秩父各地に『お犬替え』の慣習がまだあることを知り、秩父『お犬替え』のはしご取材が始まります。
そして狼信仰、狼像を追う旅は、武蔵国御嶽山、東京都内、関東、東北へと、広がっていきます。
本の内容としては、信仰の背景を描いていくというのが6割くらいで、被写体として撮影して記録に残すというのが4割くらい、という感じかな。
本としては、文字数は少なめ、写真はいっぱい(^^;
私の目的である「三峯のお犬様を探る」という点では少し物足りなさを感じる内容でしたが、掲載されている写真の量の多さはいい意味で 想定外(^^♪
秩父だけでなく、東京、関東、東北の多くの神社を訪問して撮影された個性的な狼像(ご眷属像)の写真が、ほとんどの見開きページに2枚以上!
どのページを開いても必ず写真が載っていているのです。しかもそれは、すべてフルカラー。
それは、まさしく、フォト・ルポルタージュ(^^♪
中には「これが(ニホンオオカミを模した)御犬様!?」というような、驚きの狼像の写真も載っていて、面白かったです(^^;
実は秩父各地に現存している「オイヌゲエ」
この本を読んだ最大の収穫は、「オイヌゲエ」という風習が今も秩父の各地に現存していて、具体的に神社名が書かれていたこと。
詳細はここに書きませんが、三峯神社の「御眷属拝借」もその一つで、龍勢祭で有名な 秩父 吉田の椋神社や、長瀞の宝登山神社などでも「オイヌゲエ」の風習(=御眷属拝借)が現存しているのだそうです。
ほかにも、“三峯”や“御嶽”という名の付かぬ秩父の各地の小さな小さな神社でも、御眷属拝借が様々な名で現存し守り継がれていると知り衝撃を受けました。
ちなみに、御眷属拝借とは「神様の御眷属様を御神札として一年間拝借し、地域の、或いは一家のご守護を祈り、一年後に神社にお返しする」という古くからある風習のことで、ここでいう御眷属様とは御犬様のことです。
三峯神社の場合、主祭神であるイザナギノミコト、イザナミノミコトの御眷属である御犬様を拝借するのですが、その他では山神様の御眷属である御犬様を拝借しするそうです。
もののけ姫の犬神モロのモデル?
さて、本を読み始めたきっかけは、「もののけ姫の犬神モロもモデルが三峯神社の御犬様だ」という記述を最近ちょくちょく見かけ、それに強い疑問を抱いたからですが。
この本に出てくる狼信仰、そして三峯神社のお犬様が、もののけ姫の犬神モロのモデルとはどうしても思えませんでした。
描かれ方が違い過ぎるんですね。三峯神社のお犬様 と もののけ姫の犬神モロ ではね(^^;
あとがき
ここ数年の三峯神社の人気上昇と共に知名度が上がった「御犬様信仰」。そして、狛犬像ならぬ狛狼像。
秩父の狛狼像の姿に魅了されて追い求めて日本各地へ出掛けカメラに収めて歩いた写真家 青柳健二氏。その著作「オオカミは大神 狼像をめぐる旅」。
その昔、「御犬様信仰」が日本各地の多くの人々に如何に浸透していたのかが、肌で感じられる本でした。
東北と関東では、御犬様信仰の根っこの部分が異なっているという話も、興味深く読ませていただきました。
本の後半は、そこここの狼像の紹介が次々と続くのでちょっと単調に感じましたけど、取材して歩いた場所が広範囲で、その点では圧巻。
都内の狛狼像の写真は大変興味深く、実際に徐々に巡ってみたいなと感じました。
「もののけ姫の犬神モロのモデルが三峯神社の御犬様なの?」。
こんな疑問から手に取った本でしたが、予想通り読んでも疑問は解明しませんでしたが(笑)、知らないことが知れて、とても興味深く読ませていただきました。
やっぱ、本って イイですね。
本、大好き(^^♪