~「三峯神社の御犬様」と「もののけ姫の犬神モロ」の関係が知りたくて読書する~
その第一弾(^^;
そんな折、偶然見つけて買い求めた書籍「オオカミの護符 単行本」を読んでみました。
(入院中に読みました。)
著作・取材のきっかけ
著者が育った家には幼いころから黒い獣の絵が描かれたお札があり、そのお札は、昔は祖父が今は父が毎年張り替えていて。
その家は、神奈川県橘樹郡宮前村大字土橋、今でいう神奈川県川崎市宮前区にあり。
お札には、「武蔵國 大口真神 御嶽山」と書かれていて。
そのお札に対する興味から著者は取材を始めます。
もともとは記録として残すための物だったようですが、出版する運びになったそうです。
本の内容
本は取材内容をメインに時系列に書き進められていきます。
取材時に抱いた興味や疑問から、武蔵御岳神社や宝登山神社、三峯神社の宮司への取材や協力を得て、次へ次へと取材を進めていきます。
詳しくは書きませんが、
本の前半は、地元 土橋の風土や文化やその背景、そこに関わるお札やオイヌさま、武蔵御岳神社などについて書かれており。
後半は、武蔵御岳神社のオイヌさまから派生して秩父地方の御犬様の話へとつながり、宝登山神社の御犬様も登場し、最後の方で三峯神社の御犬様に関する話へとつながっていきます。
三峯神社に関する記述は第八章になって登場します。
約30ページ、全体の13%程度。
この数字だけ見ると「な~んだ、少ないね」になりますが、
三峯の御犬様信仰の背景をより良く理解するために必要な事前情報が書かれていたと考えると、納得がいきました。
様々な用語解説
この本の中には、様々な単語(用語)が登場します。
講、講元(こうもと)、代参、
代々講(だいだいこう)、
直会(なおらい)、御師(おし)、
太占(ふとまに) などなど。
知ってる単語もあったけれど、それらの単語が本文中で実践的に解説されていて、それが信仰の中でどのような形で用いられていたのかが肌で感じられて、すごく良かったです。
もののけ姫の犬神モロのモデル?
そもそもこの本を買ったきっかけは、「もののけ姫の犬神モロのモデルが三峯神社の御犬様だ」という記述を最近ちょくちょく見かけ、それに強い疑問を抱いたからでした。
結論はね、宮崎駿さんに尋ねれば即解決する話なのですが(^^;
この本に明確な答えは書いてありませんでした。
でもそれは、予想通りのこと。
で、この本「オオカミの護符 単行本」を読む限り、もののけ姫の犬神モロのモデルは、三峯神社の御犬様ではないと感じました。
もののけ姫の中での犬神の描かれ方が、三峯の御犬様と違い過ぎる気がしました。
もちろん、武蔵御岳神社のオイヌさまとも似ていません。
でも、ひょっとしたら、武蔵御岳神社のオイヌさまがもののけ姫の構想の一部のきっかけになったのかもしれませんし、その可能性はあると思います。
武蔵御岳神社のオイヌさま信仰は多摩川流域に広がり今の川崎市へと根付いていって。
それなら、川崎より近いジブリがある小金井方面にだって信仰が広がったとしても不自然じゃないよね、と思うのです。
それを宮崎駿さんが知っていた可能性は十分にあるわけです。
御犬様の存在
御犬様。
それは雲の上の立っているような秀でた存在に対する信仰ではなく。
体温が感じられる触れることが出来そうで出来ない、身近に感じられる存在に対する信仰。そして、庶民に寄り添い助けてくれる心の拠り所となる存在への信仰。
そしてそれは、御犬様だけでなく、山を含めた崇敬として人々に根付いて行った。
文中にでてきた 「オイヌさまは百姓の神様だよ」。
この言葉がすべてを物語っている気がしました。
あとがき
この本の主役は、あくまで 武蔵御嶽神社のオイヌさま。
三峯神社の御犬様に関する記述は少しでしたが、秩父地方全般の御犬様の話も数十ページに渡って書かれていて、初めて知ることばかりでした。
読み終えた後に、なんとも言えないじんわりと温かい 心地良い余韻が残りました。
いい本に出合えた。読んでよかった。
思わず、そんな言葉が湧き出てきました。
さまざまに感謝。ありがとう(^^♪
●蛇足
この本を読んでいて、時々、ドキッとする内容がありました。
それは、御犬様と私は少なからずご縁がある、と感じる部分が幾つかあったから。。。
個人的な内容なので、具体的には書けないですけどね(^^;
※この記事では、武蔵御嶽神社の御犬様を本にならって「オイヌさま」と表記しました。
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